第81回日本医学放射線学会総会を開催するにあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
第81回総会は、パシフィコ横浜にて2022年4月14日(木)~17日(日)の4日間開催されます。第78回日本放射線技術学会総会学術大会、第123回日本医学物理学会学術大会および国際医用画像総合展(ITEM 2022)との合同(JRC4団体)で、JRC2022として開催いたします。
2020年初頭から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が始まり、瞬く間に世界的なパンデミックが到来しました。多くの命が失われたとともに、各国の経済を大きく停滞させ、世界は大混乱に陥りました。医療現場においても急増する患者の対応のために医療崩壊の危機にさらされ、私どもの大学病院の役割である研究・教育・診療活動の全てにおいても多大な損害を被りました。2020年4月には最初の緊急事態宣言が本邦で発出され、多くの学会・研究会が延期や中止となりました。しかし副次的に、Web会議システムの発展と普及が促され、学会もWeb開催や現地開催とのハイブリッド開催が模索される様になりました。このような背景から、JRC2020はオンデマンド形式を主体とするWeb開催となり、JRC2021は現地開催とオンデマンドを併用した開催となりました。難局のなか工夫を重ね、本総会を中止することなく開催され続けて来られた歴代の青木会長、富山会長やJRC4団体関係各所の皆様には深く敬意を表します。JRC2022もJRC4団体の合同実行委員会で検討を重ね、従来通りパシフィコ横浜での現地開催を決定しました。執筆時点で新型コロナウイルス感染症は依然として世界的に拡大と縮小を繰り返しており、完全終息には至っていません。特に海外演者の場合は現地参加が出来ない可能性があることから、第81回総会では、国内のみならず海外を含めた演者や座長のリモート登壇を可能としました。各シンポジウムでは海外の演者や座長の所在地との時差を考慮してプログラムを作成し、仮に現地参加出来ない場合でもリモート登壇を行うことにより、国際学会として実りある集会となる様な工夫を行っています。
第81回総会のメインテーマは「未来への潮流と変革 “Radiology - A Key for the Paradigm Shift”」としました。新型コロナウイルスの拡大の中でも様々な工夫や取り組みが行われ、前述の様に学会活動ではWeb形式が広く普及したとともに、日常の会議の多くもWeb会議が可能となりました。副次的ではありますが、コロナのための工夫が、移動時間の短縮や費用の節減など、今までの行動概念に変革をもたらす要素となりつつあります。本学会ではポストコロナ時代に向けて再起を目指す領域に焦点を当てるとともに、コロナ禍でも活動を続けていくための様々な工夫をポストコロナの社会にも生かし伸ばしていく、行動の「パラダイムシフト」をテーマとして、タイトルを決定しました。
第81回総会では合同特別講演として、全米、全仏、全豪、ウインブルドンのグランドスラムで62回の連続出場経験のある、元女子プロテニスプレーヤーの杉山愛氏にご講演頂きます。JRS特別講演として、従来の陸上界の常識を打ち破り、ビジネスの現場で培った組織づくり・人材育成のノウハウを活かした指導法をされておられる青山学院大学 陸上競技部長距離ブロック監督の原 晋氏をお呼び致します。合同開会式に引き続いて行われる海外名誉会員の表彰式では、本学会に多大な貢献を頂いたSamsung Medical CenterのHyo Keun Lim先生、Sapienza University of RomeのCarlo Catalano先生、そしてMayo ClinicのJay Paul Heiken先生に、名誉会員の称号が授与されます。
JRS企画の合同シンポジウムでは、「ポストコロナ社会へ ~未来への潮流と変革~」と称し、コロナ後の未来の社会へ向けて、各領域の先進的な取り組みを紹介します。画像診断や放射線技術における革新的な取り組み、感染対策や遠隔医療における変革をご紹介頂くとともに、Peach Aviation 株式会社CEOの森 健明氏をお呼びし、コロナ禍で大打撃を被った航空業界の未来への取り組みをご講演頂く予定です。
繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大は学会活動にも少なからず影響を与えました。現時点では国内学会は現地開催に戻りつつあり、海外の方の入国制限も徐々に解除され、従来の様に国際的な学会を開催出来る可能性が高まっています。第81回総会ではさらにポストコロナを見据えて、放射線医学における未来への潮流と変革・パラダイムシフトをお見せできる学会となることを切に願っております。多くの方々のお役に立つ様な工夫を凝らす予定ですので、是非とも皆様のご参加、宜しくお願い申し上げます。