JRC2022 Be a Game Changer in Medicine with Radiology

第79回日本放射線技術学会総会学術大会

大会長:市田隆雄

第79回日本放射線技術学会総会学術大会
大会長 市田 隆雄

Conference President of 79th JSRT
Takao Ichida

放射線技術学に夢をもって

栄えあるJRC2023、第79回日本放射線技術学会総会学術大会(以下、JSRT79th)の大会長を拝命しました市田隆雄です。この機会をたいへん光栄に感じており、選考していただきました日本放射線技術学会(以下、JSRT)の関係者の皆様、JSRTを通じて私を育ててくださった先輩の皆様、今日のJSRTでの活動で接していただいている同士の皆様、そして学術探求を共にしてきた先輩・後輩のすべての皆様に心からの御礼を申し上げます。皆様と共に歩んできた “これまで” があっての大会長の拝命でございます。深く、深く感謝を申し上げます。

このJRC2023の大会テーマを「Be a Game Changer in Medicine with Radiology」に定めて以降、JSRT79thの実行委員会としては、大会開催委員会・プログラム委員会・学術委員会・教育委員会・各専門部会のサポートをいただきながら、テーマに沿う大会開催を目指して鋭意に計画し、その実現に向けて邁進して参りました。

私は、JSRTと接して39年目を迎えました。その学術活動を一言で申せば “もの創り” に集約されます。臨床において患者さんのお役に立つ事柄に努力することを使命と考えると同時に、それが『面白味』として自身の遣り甲斐になっていたことが回想されます。関わった事柄には、IVR医のカテーテル操作の支援を目的にしたナビゲーションシステム、被ばく低減を目的にしたX線透視の線量可変システム、Angio-CTシステム、世界初のFPDによるDSA画像、定位放射線治療の精度管理システム、等のシステム開発や世界初のIVR室での平面型観察モニタの導入があります。JSRTでの活動は “もの創り” として、私に芳醇な『面白味』を与えてくださいました。

さて、次に私なりに今回大会の目玉企画を3つピックアップします。

まず1つ目は、前述のAngio-CTに焦点を合わせた合同シンポジウム2です。本邦で開発されたAngio-CTは、世界初のシステムとして小肝腫瘍の存在診断や腫瘍の栄養血管の同定に貢献できたばかりか、IVR装置・CT装置、おのおのの進化に伴い臨床における活路が更に拡大し、肝臓がん患者の5年生存率の改善にも力強く寄与してきました。ここでは、温故知新としてのAngio-CTの過去から現在、そして黎明期での可能性を探求します。

また、JSRTでの大切な財産は人材だと感じています。世界で放射線技術学を標榜する学術団体はJSRTが唯一です。2つ目は、その将来を支える若い会員の皆さまへのメッセージとしてのシンポジウム3です。現在ご活躍の4名の先人の事例をモデルケースとして報告いただきます。加えて、日本放射線科専門医会・医会(JCR)のトップ立場からの意見介入もいただき、聴衆に向けては臨床現場における放射線科医と診療放射線技師の二人三脚の姿を提示したいと考えています。

3つ目は、実行委員会企画としてプランニングされた20の企画です。JRC2022と同様にアンケートを実施して会員の皆様の声を反映させ、かつ若人にとって魅力溢れる20の企画に仕上げました。JSRTのより良い活動環境を保証するための倫理の企画から、最先端の技術や研究テーマを探る企画、未来に夢を馳せるような企画、等の盛り沢山の内容を詰め込みました。その中の1つでは、厚生労働大臣政務官である畦元将吾衆議院議員から私達への助言もお願いしています。社会・国政・国民に響く放射線技術学を導くための道標を頂戴する予定です。

お話が変わり…私にとってのJSRTでの活動は、私自身に一心一意に『やり続ける』ことの道理を教えくださいました。これまでの歩みを走馬灯のように振り返ると、東京大学名誉教授、小柴昌俊先生から賜ったお言葉を思い出します。IVRに関係する全国循環器撮影研究会の20周年事業でご講演を賜りました際に、事前面談でいろいろなお話を伺いました。

「けっしてノーベル賞のために研究していたのでなく、日々一生懸命に務め、やって、やって、やり続けて、いつしか到達点が訪れ、引き続きにやり続けた」と仰っておられました。そして、『やれば、できる』との総括のお言葉を頂戴しました(御本としても出版されています)。小柴先生の偉業に私の行いを重ねることはできず、とても憚れるばかりです。ただ私の備える能力に限ったのみの事柄ですが、『やり続ける』ことは相似があると勝手ながら感じていました。JSRT79thが、参加される皆様の『やり続ける』場になることを願っています。

より良い放射線診療について、科学の観点で最先端を追い求めて、その提供をしようとしている行いがJRC事業です。国民の健康と福祉に貢献することが主たる目的のひとつですが、そのためには私達自身が元気で健やかな気持ちを保つことが大切です。

JRCの広報誌最新号のラジオロジーNo.39(https://www.j-rc.org/public/radiology/pdf/radio2022_39.pdf)「My Hobby」の記事でも執筆させていただきましたが、私の趣味はキモチ良い汗をかくランニングです。そこでJRC2023を元気で健やかに楽しむ意図でRun & Walkを企画しました。パシフィコ横浜に隣接する臨港パークで、会期の4月15日(土)午前6時より、ラン(1.5km x 3周)とウォーク(1.5km)を湾岸からの朝日をあびながら楽しみたいと考えています。

最後に、JRC事業の開催方式と、その魅力をご紹介します。

JRC事業は2020年からのコロナ禍に翻弄されることになりました。それを乗り越える術のひとつとしてWeb開催を提供しています。従前のWeb機能はシステムの利便性が乏しく、参加者のお立場で戸惑う様子も散見されていました。しかしながら、この3年の間にWeb機能が洗練されたことで、容易な操作で良好に参加できるようになっています。

さて、臨床現場を鑑みますと、放射線業務のスタッフは複数のモダリティを担務するのが一般的です。そして長い職業人生ではすべてのモダリティに携わる可能性もあります。しかし、沢山のモダリティに興味があっても、JRC事業がかつてのように現地のみの開催方式では1つの会場しか聴講ができません。つまり、これまではJRCが提供する事業内容の一部にしか参加できなかったのが実情で、それが当然とされていましたが、Webにてこの考え方を一変させることが適いました。

これからのJRC事業はハイブリット開催(現地とWebの併催)とすることが決定しています。拠って、これからは開催事業のすべてを聴講することが可能になります。現地会場での参加が可能であれば、ライブ感を楽しんでいただき、さらにWeb会期にゆっくりと全てを楽しんでいただくとの構図です。

JSRTの約18,000名の会員はもちろんですが、全国の臨床に携わる55,000名を超えるすべての技術者の皆様、放射線技術学でこれからご活躍いただける学生諸君、教育と臨床の現場に優秀な人材輩出をしていただいている教育機関の教員の先生方、そしてJSRTにご興味をもっていただける全てのメディカルスタッフの皆様のご参加を心よりお待ちしています。その全ての皆様に『面白味』を味わっていただき、『やり続ける』場に相応しいJSRT79thにするべく、JRC2023実行委員会一同、誠心誠意に努力して参りました。そして、JSRT誌79巻3号(学会雑誌3月号)の巻頭言には、私なりの放射線診療に纏わる私見を記述させていただきました。本稿に併せてお読みいただくと、私の掲げた願いをいっそう知っていただけることと存じます。

横浜での皆様のご活躍が心からの楽しみです…。ニコニコの笑顔でお会いしましょう。

The 82nd Annual Meeting of the Japan Radiological Society
The 79th Annual Meeting of the Japanese Society of Radiological Technology
The 125th Scientific Meeting of the Japan Society of Medical Physics
The International Technical Exhibition of Medical Imaging 2023

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