この度、第81回総会学術大会の大会長を仰せつかりました岩永秀幸と申します。次年度の大会テーマは『 Radiology for Everyone 』とし、今回は、日本語のテーマをあえて作らず英語のみのテーマにさせて頂きました。あえて日本語に訳すると「みんなのための放射線医学」となります。さて、皆さんはどのような Radiology を想い浮かべられるでしょうか? 私が診療放射線技師になった38年前は、 Radiology と言えば、CT・核医学・血管撮影はあったものの、診断のモダリティとしてはX線写真が主であり原点と言える時代でした。銀粒子を使用したアナログフィルムと増感紙を組み合わせて撮影し、暗室で自動現像機にフィルムを流し、現像、定着、水洗、乾燥の4工程を経て、1枚の写真が出来上がる。当時は、4工程が90秒処理でも画期的な時代で、現像液を調整するときに飛び散った薬液が酸化して変色するため、白衣を見れば、診療放射線技師と分かる時代でした。現在では、白衣に薬剤のシミを見ることもなくなり、職場の匂いや音も大きく変わったと感じます。
38年間の歴史の変化は激しく、X線写真はアナログ時代からデジタル時代へと大きく変貌し、今では、写真 ではなく 画像 と言う言葉が定着しています。これらの進化は、放射線に関係する多くの理学・工学者の研究成果がもたらした『 Radiology for Everyone 』と言えると思います。
ここを考える上で、もう1つのテーマとして「原点回帰」を掲げ、アナログ時代を振り返りながら、ディジタル時代への移行の技術的な歴史の中で、得たもの、失ったものについて再考し、近未来に急速に進むであろう 人工知能(AI)や医療DXを皆さんと一緒に考える学会にしたいと思っています。
また、JSRT-JSMPの合同企画であるICRPTも次年度は4th-ICRPTを開催することになります。回を重ねるごとに、少しずつですが会場に多くの方の姿を見ることができ、国際学会としての発展を期待するところです。4th-ICRPTでは、ぜひ英語セッションでの発表に挑戦してみてはいかがでしょうか? もしかしたら、未知の自分に出会えるかもしれませんよ。
さて、JRC2025のポスターをご覧頂けましたでしょうか? 今大会のJRS、JSRT、JSMP、各団体の大会長の想いが至る所に沢山詰まった『 Radiology for Everyone 』のポスターになっています。医師、患者、地方、遠隔医療、家族、ロボット手術、正当化、Society 5.0、横浜と多くの想いをこの小さな空間に詰め込んでいます。じっくりと見て感じて頂き、みんなのための放射線医療を考えて頂ければ、幸いに存じます。
新型コロナ感染症も落ち着き、JRC2024では天候にも恵まれ、久しぶりに桜並木が見られる学会でした。JRC2025では、3学会ならびに日本画像医療システム工業会と一丸となって、素晴らしい学術大会を開催できるよう実行委員一同、鋭意準備を進めております。
ぜひ、2025年4月10日(木)〜13日(日)の4日間、横浜に足を運んで頂き、熱い議論と親睦を深めて頂ければと存じます。
横浜でお会いできることを実行委員一同、楽しみにしております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。